IoBをご存知ですか?
新しいカタカナ言葉やアルファベット略語が日々生まれています。
GAFAという言葉だけでも、GAFAMやBATHなど、関連する言葉があります。
全てを覚えるのは不可能ですが、今後よく目にするであろう言葉は押さえておきたいですね。
IoTという言葉はかなり聞き馴染んでいると思います。
では「IoB」はどうでしょうか?「なにそれ?」という方が多いと思います。
しかし、今後の社会の発展で確実に現れるものです。
今回はまだまだ知られていない「IoB」についてご紹介します。
IoBとは
IoTは「Internet of Things」の略で、モノのインターネットですよね。
IoBは「Internet of Behavior」または「Internet of Bodies」で、それぞれ「(人の)行動のインターネット」や「身体のインターネット」という意味です。
「つまりどういうこと?」とお思いですよね。
実は、IoB端末をほとんどの方は既に見たことがあるのです。
例えば、Apple社の Apple Watch です。
Apple Watch はスマートウォッチの一種で、最も有名です。
スマートフォンの補助的な役割に加えて、心拍数・血圧・運動量・睡眠時間・血中酸素などの身体情報もアプリで管理できます。
この「心拍数・血圧・運動量・睡眠時間・血中酸素」といった「ヒトの情報」をインターネットを介して管理したり活用したりするのが、IoBの大きな特徴です。
IoTはモノをインターネットに繋ぐことでしたが、IoBはヒトをインターネットに繋ぐことなのです。
スマートウォッチをそのまま例としてあげると、インターネットに接続された無数のスマートウォッチから、多くの人の情報がアップロードされます。それをビッグデータとして分析し、病気や体調の傾向を見つけます。そしてスマートウォッチの使用者には「あなたは〇〇という病気の傾向があるから、もっと運動しましょう」「血圧が高いので水を積極的に飲みましょう」という情報としてフィードバックしてくれるわけです。
スマートウォッチはウェアラブルデバイスの一種です。「ウェアラブルデバイスって何?」という人もいるのでさっくりと説明しますと、要するに身につけるタイプの情報端末です。身につけるスマートフォンというイメージが一番近いと思います。他の代表的なウェアラブルデバイスと言うと、スマートグラスがあります。
スマートグラスはカメラ・ディスプレイ・スピーカーなどが搭載された眼鏡です。2021年現在では、まだまだ試作的な製品が多く、ごく一部でしか使われていないジャンルのものです。現在はまだ無理なのですが、将来的にはスマートフォンのようにビデオチャットをしたり、カメラ撮影をしたり、道案内をしたり、眼鏡のグラスを通して拡張現実(AR:現実の空間にデジタルなモノ・コトを加えるもの)を楽しんだりなどが期待されています。
言うまでもなく、スマートグラスは視覚をインターネットに繋げるIoBです。
他にも身につける服をデジタル機器化して着ているだけで人体の情報を収集してくれる「スマートウェア」というものも開発が進んでいます。手で持つスマートフォンよりも更に体に近づいて行っています。
ここまで読んでいただくと、「ははーん、IoBってのはスマートウォッチとかスマートグラスなどのことだな?」と思ってしまうことでしょう。
現代のレベルですと、その認識で間違ってはいません。現に、アメリカや中国のIT企業が「スマートフォンの次はスマートグラスを使ったARの時代」と認識して、開発を続けています。
しかし、IoBは単なるウェアラブル端末を指す言葉ではありません。
IoBの未来
ウェアラブルデバイスは、実はIoBの最初の段階なのです。
IoBはヒトのインターネットですから、目指すところは人体の端末化と言えるでしょう。
衣服や眼鏡のように身につけるよりも更に人に深く接するには、埋め込むしかありません。
人体へ埋め込むタイプの電子機器をインプランタブルデバイスと言います。
電子機器を体に埋め込む、と聞いてどういう印象を受けるでしょうか?
「そんなSFチックな」と思う方もおられるでしょう。
しかし、実はすでに「身体の中に埋め込む」という方法は一般化しています。
心臓を動かすペースメーカーがまさにそれです。インターネットに接続する端末ではないので正確にはIoBではないと言えますが、電子機器を体内に埋め込むことで健康を維持するものです。その点ではIoB的ではあります。
他にもタイ米ぐらいの米粒サイズのマイクロチップを埋め込んで、鍵やクレジットカード、日本で言うSuicaなどの機能を持たせるサービスも西欧に存在します。
今のところ日本ではペースメーカーなど医療の領域のみで、一般的に広く使われるものではありません。しかし、技術的には既にあるものであり、インプランタブルデバイスの普及は遠い未来の話ではないと予測されます。高齢化の進む日本では特に予防医療の観点で期待されている技術でもあります。
ここまで読んでいただいた方は「なるほど、IoBというのは、今のところウェアラブルデバイスまでは見えていて、将来的には体にデジタル機器を組み込んで体でインターネットにつながるものなんだな」と思っていただけたと思います。
しかし、実は、まだ更に先があります。
IoBの更なる未来
「埋め込み型」でも十分にSF感満点な話でしたが、更に先があります。
そのターゲットが「ウェットウェア」です。
ウェットウェアとは、人間の脳を指す言葉です。ソフトウェアが入っているハードウェアが湿度を嫌うドライなものあるのに対して、人間の脳は液体に浸かったものなのでウェットウェアといいます。
このウェットウェアに直接電極や電子機器を埋め込むことで、脳で直接インターネットに接続します。体を用いずに脳だけで身近なものから遠く離れたものまで操作したり、脳の情報を出し入れしたり、個人の経験を複数の人たちと共有したりなど、完全にSFなことを可能にしようとしています。
「現在のところ全く影も形もない話だな」と思ってしまいますが、全くあり得ない話ではないのです。
脳とコンピュータを接続すると言うのは、何も新しい取り組みではないのです。
古くは20世紀後半から始まっており、脳波を使ってスマートフォンやパソコンをコントロールするものであれば既に市販のものも登場しています。
こういった脳を使ってコンピュータと接続するものを BMI (Brain-machine Interface: ブレインマシンインターフェース) と言います。BCI(Brain-computer Interface)という場合もあります。
このBMIの分野で今一番話題なのが、あのイーロン・マスクの作ったベンチャー企業であるNeuralink 社です。
Neuralink社は脳に直接埋め込むチップを試作し、脳とコンピューターを接続しようとしています。
実は、YouTubeでその成果を公開しています。
百聞は一見にしかず、是非以下からご覧になってみてください。
英語で解説が入っているのですが、ここでも何をやっているかを簡単に説明します。
まずは、猿が操作する物理的なコントローラーの入力に対して、その猿の脳内でチップが脳の中の反応をキャッチできているかの確認をしています。チップで脳の反応をキャッチして操作すること、つまり「思うだけで操作できること」が猿にもわかってきて、最終的にピンポンゲームを脳で念じるだけでプレイすることが可能になっています。
・脳内にチップが埋め込むことができていること
・チップで正確な操作ができていること
・人間に近い高度な能力のある猿の脳でもできていること
などなど、驚くばかりです。
当面、この技術は事故や病気によって体が麻痺してしまった人がコミュニケーションを行うために使われる予定です。しかし将来的に医療目的以外でも使われることは間違いなさそうです。
例えばリアルなVRゲームを手のコントロールではなく脳のコントロールで行うとすると、脳から見ればまるで手足を動かすかのようにプレイできるわけですから、「ゲームの世界に入り込んでいる」という没入感が高まりそうです。
Neuralink社の活動をみていると、IoBの最終ゴールであるウェットウェアのインターネット接続が、遠い未来を想像したSFの話とは思えなくなってきますね。
まとめ
今回はIoBを紹介しました。ヒトのインターネットとして、ウェアラブル➡︎インプランタブル➡️ウェットウェアという発展が見込まれていますが、どれも現実化の目星がついているもので、SFの世界はすぐ近くなのだと実感できますね。
スマートフォンの登場によって社会が大きく変わってきています。ウェアラブルデバイスの一般化、インプランタブルデバイスの一般化は、AIの発展も伴ってますます大きく社会を変えていくでしょう。
社会が高度にデジタル化していくのですから、会社のデジタル化、事業のDXは必須になっていきます。IoBの発展が段階的なように、会社のデジタル化も段階的にしか進みません。一朝一夕には不可能です。そのため、1日でも早く着手していく必要があります。
自社単独では進まないとお思いでしたら、社外を頼ることです。デジタル化を進め、AI・IoT・IoBで変化していく現代社会で生き残りましょう。
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