会議とは -議題とゴール-
「会議をする」となると、ほとんど全ての人がなんとなく何をするのか理解をしていると思います。
しかしそれは、多くの場合「ただ集まって何かについて話す」と言うものです。
「会議」と言う字面が「会(って)議(論する)」なので、文字を理解してるだけに過ぎません。
しかし、会議の意味を調べると、どの辞典にも「物事を決定すること」ということが書いてあります。(コトバンク:会議とは)
つまり、会議はそもそも「ただ報告をするもの」「ただ指示や意思伝達をすること」「ただアイデアを出すこと」ではないのです。
会議に参加すると言うことは「何かしらを決定するため」なのです。
ここから認識がズレていることが多いです。
今回は、会議とは何なのかを理解するため、会議をするために絶対に必要な「会議の議題とゴール」について説明します。
前提として、一度の会議が長い場合、例えば「経営戦略会議」などの場合、1回の会議で複数の内容があります。共通するゴールとなると抽象度がどうしても高くなってしまいます。
この場合は、1つ1つの議題についてが1つ1つの会議と考えてください。
議題
会議の定義では「物事を決めること」とありました。
では具体的に何を決めることが会議のゴールなのでしょうか。
「物事を決める」の対象になることは、基本的に未来の行動につながることです。
例えば、何かしらの報告を発表するような報告会議であっても、報告を聞いた上で「このまま続けるのか、やり方を変えるのか」と言う未来の行動を決定するはずです。
どんな会議にも「将来を良くするための行動を決める」と言うゴールが必ずあるはずなのです。
このゴールを得るのが遅くなればなるほど、スピード重視の現代社会でその企業は置いていかれることになります。
だからこそ、会議の入り口である議題は明確でなければなりません。
どんな便利な道案内アプリでも、始めに目的地を入力しないのならただの地図です。
どんなに優秀なメンバーでも、始めに「議題」が決まっていなければただの凡人になってしまいます。
議題と聞いて、「そんなもの当たり前だろう?」と思っていないでしょうか。
どんな便利な道案内アプリでも、「とりあえず海」では案内は開始されません。
どんなに優秀なメンバーでも、「とりあえず集まって」では時間の無駄になってしまいます。
例えば「企業成長のためのIT人材獲得検討」という議題があるとします。
ぱっと見ではそれっぽいものだと思います。ですが、何の背景もなしにこれだけがあるなら、ただの「テーマ」に過ぎません。
まず大前提の「企業成長」とは何を指すのでしょうか。
売上を向上させるのか、利益を向上させるのか
向上させるならいつまでに何%向上させるのか
向上させるのは既存事業なのか新規事業なのか
方法は効率化なのか事業拡大なのか新市場に打って出るのか
最低でもここまで決まっていなければ、上記の「企業成長」はテーマのレベルから脱却できません。
さらに言えば「IT人材」も幅があります。
自社でシステムを開発するならプログラムを設計・組み立てできる人材になります。
会社のデータを分析するならデータアナリスト、AIを導入するならAIエンジニアかもしれません。
さらに、上記はあくまで肩書きなので、どれくらいのことができるべきか、と言う能力要件も決定する必要があります。また、「企業成長」の内容にも左右されますし、予算も人材のレベルによって額が大きく変わります。
ありがちなこととして、「とりあえず話し合おう。何かいいアイデアが出るかもしれない」とテーマのまま開始してしまってはいないでしょうか。
その結果、「この会議って何をするの?」と言う状態になり、参加者の意識は散漫になった挙句、無駄に長いだけで何も決まらない会議になってしまいます。
「経費節減のための業務効率化ITツール導入」のための「各社ツールの比較検討」や
「経営数値の可視化ための経理システム」のための「 機能要件洗い出し」というような
明確なものであれば参加する側も何を決めるための会議なのか分かりますよね。
議題だけでも、会議の内容を明確化できているかどうかで、会議の質は変わります。
ゴール
「呼ばれたから参加してるけど、この会議で何を話し合っているんだ?」と思ってしまうのは良くある現象です。
原因はゴールが見えていないことです。
ゴールには2種類あります。
1つは、プロジェクトや計画全体のゴール。もう1つは、その会議のゴールです。
どっちがより大事ということはありません。
両方とも大事で、両方とも会議が始まる前に参加者に共有されていなければなりません。
プロジェクトや計画全体のゴール
プロジェクトや計画のゴールとして参加者に共有されるべきものは以下です。
①意思決定者に承諾されているプロジェクトや計画の概要はどんなものなのか
②獲得すべき許可・承認のため、会議・根回し・申請が必要な人物は誰なのか
③アクションのために必要な情報・資料はどんなもので、いつまでに必要なのか
これらになります。
これら全てが参加者全員に共有された上で、各会議で何を決定するのか、ゴールから逆算しておかなければなりません。
ゴールから逆算している以上、その回の会議で決定がなければ全ての予定が再調整となります。1度の会議で必ず全てを決め切る必要があります。
その会議のゴール
会議と一言で表しても、いくつかの種類に別れます。
その種類ごとに準備や会議の組み立て、会議のゴールも異なります。
大きく分けるとおよそ以下の3つに分かれます。
①選択 ②アイデア募集 ③周知
1つずつ特徴・ポイント・ゴールを抑えていきましょう。
①案の選択
・内容 提示されたデータ、情報から導かれる案の中から選んで決定する
・ポイント
情報不足では何も決められないため、先送りになる
情報量に加えて案の整理(利点・欠点)も必要
情報不足の場合、電話やちょっとした調査で判明する事であれば会議中に行動する
・会議のゴール
十分な情報と選択肢の精査で案を選択すること
②アイデア募集
・内容 参加者から企画などの案を集める
・ポイント
参加者にあらかじめ準備をしてもらわなければ実現できないものが多く出てくる
実際のデータに基づいたものでなければ仮定に仮定をかけた精度の低いものになる
いいアイデアが出たなら、その会議内で形をおおよそ完成させる
・会議のゴール
得られたアイデアが会議中にブラッシュアップされ、得られた試作モデル
③周知
・内容 会社としての決定事項や情報を参加者に共有する
・ポイント
伝えたから終わりではない
参加者が決定事項通りに動きたくなるよう感情を揺さぶること
なぜその決定事項をすることになったのか理解させること
変えられない決定事項でも納得できるように時間を設けて質問させること
・会議のゴール
決定事項に対して逆に「やらせてくれ」と言うほど感情を誘導された参加者
※感情抜きでできるならメールだけで十分。顔と顔を合わせるのは人の感情を動かすため
どの種類の会議にも共通する必要な要素
・心理的安全性
Googleの行った「プロジェクト・アリストテレス」という調査により、チームのパフォーマンスは個々人の能力よりもチーム内に心理的安全性が保たれているかどうかの方が重要と判明しています。
心理的安全性が保たれている状態とは「不安や恐れを感じることなく、発言や質問が出来る環境や関係性にあること」です。「3人寄れば文殊の知恵」という諺がありますが、これは1人が怖い上司で2人が怯える部下という関係性の3人ではありません。対等で親しい凡人が3人集まっている状態で、お互い考えていることを気兼ねなく言える状態です。
一方、ワンマンリーダーが率いるチームでは「文句を言われるのが怖いから何も言わない」という状態になりがちです。
・仲良くなるような施策
チーム内で親睦を深めることを会議のゴールとした”会議”を行うのもいい方法です。例えばカフェで会議をしたり、快適な天気の平日に公園で散歩しながら話し合うというような方法も良いやり方です。ちなみに、旧来の「飲みニケーション」は内心嫌々参加してることもあるので注意が必要です。
なお、定期的に上司部下で面談をしている、というのはこれに当たりません。上司・部下という関係性で「何かあるか?」と言われても本音はほとんど出てきません。悩みが出たとしても、上司が自分の経験からその場で悩みを解決しようとする悪い動きをしがちです。部下は表面的には感謝していますが、求めている答えではなく、基本的に辟易しています。上司の気分だけが良くなっています。
まとめ
議題 ≠ テーマ
ゴール1:プロジェクトや計画のゴール
ゴール2:それぞれの会議のゴール
会議のパターン:①選択 ②アイデア募集 ③周知
会議は人と人が顔を合わせて意見を交わし深めるものです。参加メンバーの心理や感情が最も大切です。
これらを整理して理解をした上で、各会議は何のために行うのかをあらかじめ定義し、情報共有を行った上で、会議に参加しましょう。そして必ずその会議で決まっているゴールを達成しましょう。
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