「考える」ということを考えてみた
ビジネスの場で「考える」ということは欠かせません。「考える」ということは皆さんが日常的にしていて、出来ていると思っているはずです。しかし、自分で思うほどできていません。
誰もが上司から「考えてみて」なんて言われたことがあるはずです。では、皆さんはこの上司の言う「考えてみて」について考えたことはありますか。ビジネスの場における「考える」は日常的な「考える」では足りないことが多いです。この「考えてみて」はむしろ「思考を深めてみて」と言った方が適切だと言えます。
では、皆さんは「思考を深める」を出来ていると思いますか。この質問に関して、YESと答えられる人は、「考える」が出来ていると思う人よりも断然少なくなっているでしょう。
思考の深め方を知る
思考が浅いと言われる人のほとんどは思考の深め方をわかっていません。もしかすると「自分は思考が浅いから、深めるなんてことはできない」という思考の浅い考え方をしてるかもしれません。
思考を深めると言うことは難しいことではないんです。なぜなら手順や方法があるからです。
まずは、思考の深め方の種類を知っていきましょう。
ロジカルシンキング
昨今話題になっている言葉ですね。論理的思考法です。
ロジカルシンキングとは、物事を結論と根拠に分けて、その論理的な関係性を考えながら理解をする思考法のことです。
ロジカルシンキングの特徴は、固定概念にとらわれずに筋道が通っていることです。また、物事を論理的に捉えているため、聞き手に「この人は何を言いたいんだろう」と困らせることもなくなります。
ロジカルシンキングには代表的なフレームワークがいくつか存在します。時と場合に応じて、使い分けることが重要ですが、何をどう使えばいいかわからない方に一番おすすめなのはロジックツリーです。
ロジックツリーは問題をツリー状に要素分解し、その原因や解決策を見つけるためのフレームワークで、全体を可視化することができるので、誰にでも使いやすいものです。
また、ロジックツリーで要素分解するときは、MECE(ミーシー)を意識するようにしましょう。
MECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)は、「お互いに排他的であり、集合として完全であること」です。ダブりもなく、漏れもないという意味です。
例えば、人を分類するときに、10代以下/20代/30代/40代/50代/60代以上と分類すればダブりも漏れもありません。しかし、主婦/学生/アルバイト/正社員と分けると、学生や主婦でありながら、アルバイトをしている人は存在するため、ダブりが出てきてしまいます。また、派遣社員も含まれていないため、漏れも出てきています。
ラテラルシンキング
ラテラルシンキングとは、問題解決のために既成の理論や概念にとらわれず、多角的な視点と自由な発想でアイデアを生み出す思考法です。当たり前だと思っている前提を疑うことが重要です。
ロジカルシンキングは垂直思考と言われるのに対して、ラテラルシンキングは水平思考と言われています。ロジカルシンキングが一つの既成概念を基に論理的に深掘りしていくため、導き出される結論は一つとなりますが、ラテラルシンキングの場合は多角的な視点で考えていくため、結論は一つとは限りません。ラテラルシンキングとロジカルシンキングはうまく併用することで、多方向に思考を深めることができます。
ラテラルシンキングでもロジックツリーを使うことはできますが、SCAMPER法もおすすめできます。
SCAMPER法とは生み出したアイデアを強制的に量産するフレームワークです。
Substitute:代替
他のアプローチや場所、人、成分など、代用は可能か。
Combine:組み合わせ
目的や考えの結合は可能か。
Adapt:適応
過去に前例や匹敵するものが存在するか。
Modify:変更
動きや意味、形、色、音などの新しい視点から考えられるものが存在するか。大きさを変えることができか。
Put to other uses:別の使い道
そのままの形、または変化を加えることで別の用途があるか。
Eliminate:排除
何かを取り除くことができるか。
Rearrange:並べ替え
入れ替えてみてはどうか。プライスをマイナスにできないか。
クリティカルシンキング
クリティカルシンキングは、批判的思考法とも呼ばれ、本当にそれで正しいのかという視点で物事を観察して、正しい論理につなげていく思考法です。実際は物事の前提を疑う態度にあたるので、思考態度とも言われています。
クリティカルシンキングを行うことで、物質の本質を見極めることができ、問題解決の精度が高まります。
クリティカルシンキングで進める場合、ステップは大きく分けて3つです。
ゴールを明確にする
まずはゴールを明確しなければいけません。表面的な対処ではなく、根本的な問題を解決するゴールです。
現状分析と課題抽出する
課題を抽出するためには現状を把握・分析しなければなりません。
現状把握・分析が終われば、明確化されたゴールを意識しながら、課題を抽出します。
ここで課題を見つける時は、客観的な視点であることが重要です。つまり、自分の思い込みや予想などを前提に考えてはいけません。
仮説を立てて、解決方法を考える
仮説を立てるときに、重要なことは自問することです。クリティカルシンキングのメインとなるもので、「なぜそうなのか」「本当にそうなのか」「他にも要因はないか」と言ったように疑うことで、仮説の精度を上げていきます。また、解決方法を考える際も同様に自問を繰り返します。
ここまでくれば実際のアクションを行い、PDCAサイクルを回すことで、解決方法の精度を上げて行ったり、別の解決方法を試したりを繰り返します。
「結局どれの思考法を使えば良いの?」と思うかもしれませんが、使う思考法は全てです。
なぜなら、ロジカルシンキングとラテラルシンキングは補完関係にあり、そこにクリティカルシンキングを併用することで思考の精度があがるからです。
「思考を深める」を実践してみる
それでは「思考を深める」を実践してみましょう。
知識を身につける
大前提として、思考には知識というインプットが必要になります。
知識がなければ、多角的な視点で物事を見たとしてもそこから導き出される前提が少なくなり、最終的なアウトプットまで辿り着かない可能性さえあります。
紙とペンを用意する
「紙とペン」としましたが、タブレットなどでも構いません。
実際に自分の思考プロセスを書き綴れるものなら大丈夫ですが、メモアプリにタイピングするより、紙やタブレットなど思い通りに書ける方が使いやすいです。
何かに書き出す方が思考の整理がしやすく、迷子になりにくいです。また、可視化することで多角的な視点から考えやすくなります。
思考を深めるに連れて、マインドマップやロジックツリーのようなものが出来上がるはずです。
前提を疑う
ラテラルシンキングやクリティカルシンキングでも行うことです。
ここでいう前提とは、人の意見や業務ルール、噂、思い込みなど様々です。
前提を疑って視点を変えることで、新しい発想が生まれたり、現在の考えの方向性の精度を高めたりすることができます。
仮説を立てる
優秀な人のほとんどが実践していることが、仮説を立てるということです。
優秀な人は一つの問題から、いくつもの仮説を導き出します。
仮説を立てる練習を繰り返せば、仮説思考力が上がり、仮説を立てる早さ・幅・精度などが上昇していきます。
自問し続ける
自問し続けることは思考を深める上で最も重要だと言えます。そして、物事の本質を見極めるためには欠かせません。
また自問をする上で固定概念や思い込み、偏見などは一切排除しましょう。そして、自他の思考のクセを考慮しましょう。
悩むと考えるを混同しない
「悩む」と「考える」と2つの行動は混同されがちです。
悩むは頭の中で堂々巡りになっている状態で、問題解決の方向へと向かっておらず、答えが出ません。いわば、無駄な時間です。
自分が考えているのか、悩んでいるのかをしっかりと気付けるようにすることも重要です。また、悩んでいる状態は知識や情報が不足している場合もあります。
まとめ
今回紹介したロジカルシンキング・ラテラルシンキング・クリティカルシンキングは代表的な思考法です。他にもアナロジー思考やアートシンキング、デザインシンキングなどいろいろな思考法があります。他の思考法も調べてみて学ぶことで、その時々に応じて思考法を使い分けることもできるようになります。
思考を深めることは難しくはありませんが、最初はめんどくさいです。しかし、練習を重ねる内に思考の幅・深さ・スピードも向上していきます。
浅い思考ではこれからのビジネスに生き残ることはできません。
特に経営者層は思考を深めてこそ、精度の高い戦略を練り、成功するビジネスへと導くことができます。
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