ホームページの著作権
さまざまな企業がホームページを持つ時代。
「最近このパターンのページよく見るよなぁ」と思うことが多くあると思います。
特に最近ではECサイトを簡単に作れるサービスをはじめとして、テーマを使って作るワードプレスなど、特定のパターンに画像や動画・テキストなどを入れ込んで作るものなので、似たような見た目になってしまうのは仕方がありません。
漫画で言えば構図はそのままにキャラクターだけ変えたようなものなので、「著作権的に大丈夫なの?」と思ってしまうのは自然なことだと思います。
今回はホームページの著作権についてご紹介します。
著作権法とは
まずそもそも著作権法とはなんなのでしょうか。早速見ていきましょう!
…嘘です。著作権法は第124条にわたる法律なのでとてもじゃないですが全部目を通していたら来月になってしまいます。
しかし法律も人間が作ったものです。大事なのは「何の目的で作られたのか」です。
ほとんどの法律はその第一条で目的が記されています。
(目的)
第一条 この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。
著作権法|e-Gov法令検索 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048
この部分だけでも見えてくるのは、対象が以下であることです。
著作物、実演、レコード、放送及び有線放送
ホームページはこの内の著作物に当たりそうですね。
著作物とは何なのか
ここでクイズです。次の内、著作物に当てはまるものはどれでしょうか。
- 既視感のある車のデザイン
- iPhoneみたいなスマートフォンのデザイン
- 凄い設計のデータベース
- 丹精込めて作り上げたCSS
答えは
3
です。(上に白で記載しています)
詳しく見ていきましょう。
同じく著作権法の第2条によると、以下のようになっています。
「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」
芸術的なものなど創造的な要素が必要そうですね。
その証拠に、例えば工業製品である自動車のデザインなどは著作物にならないのです。流行りの車が現れると、どのメーカーも似たようなデザインの車を出してるのはしっかり合法ですし、iPhoneに似ているandroid端末も合法です。
デザイナーさんも大変ですね。
ホームページはどうなのか?
ホームページを構成する要素はざっくりいうと、HTML CSS Javascript 、そして掲載されている動画・画像・テキストになります。
著作権法では「プログラムにおける電子計算機に対する指令の組合せの方法」は対象外となっています。
そのため、CSSやJavascriptも司令の組み合わせの方法に当てはまるため、対象外になりえます。特にCSSについては特定の見た目を作ろうとした場合、基本的に類似のコードになってしまうため著作物にはならないと言えます。
Javascriptの場合、ハンバーガーメニューのようなどこでも見受けられる内容だったり、色を変えたり位置を変えたりするような、ちょっとした画面上の変化を産むような内容では著作物には認められません。
そういった場合は、誰がやっても類似のコードになってしまったり、どこかしらで公開されているコードを使用していることがほとんどなので、当たり前といえば当たり前かもしれません。WEB上でサービスを提供している場合を除いて、何かを紹介してるホームページ上で使われている大多数のJavascriptは著作物とは認められ難いです。
ポイントは創造性
ポイントは他の誰かが作っても同じようなものにならないような創造性があると認められるかどうかです。そのため、プログラマーが新しくシステムを作るために新規に作成したコードであれば、創造性が認められて著作物になる可能性が高いです。類似の例として、データベースについては第12条で「その情報の選択又は体系的な構成によって創作性を有するものは、著作物として保護する」と明記されているので、創造性の有無が重要になります。
まとめると、CSSについては全般的に著作物と認められにくく、Javascript については内容によるが単純なものでは認められないということになります。
一方、HTMLおよび掲載されている動画、画像、テキストについては著作物に認められる可能性が高いです。
HTMLそのものはCSSと同様の理由で著作物と認められないので、色やレイアウトは著作物と認められませんが、その中にはテキストが含まれます。テキストの内容が一般的に使われている名詞や内容でない限り、新しく作られたテキストは著作物になります。
この場合、著作物はテキスト部分だけになるので、テキストが含まれるHTML全体が著作物になるわけではありません。同様に動画・画像についても、フリー素材でない限り、基本的にその部分のみが著作物になります。
ここで問題になるのが、ホームページの制作を依頼された場合です。
お客様からホームページを構成するテキスト・動画・画像を提供してもらい、単純なホームページを作るとすると、当然依頼を受けた側が行うのは著作物と認められない HTML CSS 単純なJavascript の編集だけになります。
この内容でどこに著作権があるのかという訴訟があり、その判決を要約すると制作した側は単に「まとめただけ」という扱いで著作権は認められないというものでした。
「商品イメージやキャッチフレーズ,モデルの写真などの素材は,被告らから提供されたものであって,原告が制作過程において行った作業(製造過程における作業を除く。)は、デザイン、レイアウト(素材のレイアウト)、配色、仕上げの各作業に過ぎず、本件デザイン画に著作物性を認めることはできない。 」
平成21年(ワ)第3102号 著作権侵害差止等請求事件
判決より抜粋 http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/944/081944_hanrei.pdf
まとめると以下になります。
ホームページで著作物と認められるもの
・テキスト ・画像 ・動画 ・Javascript(創造的な内容)
ホームページで著作物と認められないもの
・HTML(タグの中身以外) ・CSS ・Javascript(単純・一般的な内容)
ということで、冒頭の疑問である「同じような見た目のホームページは著作権的に大丈夫なのか?」は基本的に大丈夫と言えるでしょう。
ご自身の趣味のサイトや企業のホームページを作る場合は、かっこいいホームページを自信を持って参考にさせてもらいましょう!
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