2022年9月6日

ベンダーロックインとは

投稿者: kgi_admin

ベンダーロックインという言葉をご存知ですか?横文字なのでご存知ない方には全く意味が分からないと思います。

しかし、日本の至る所で発生している問題です。

是非理解していただき、厳しい状態にならないようにしましょう。

ベンダーロックインとは

特定ベンダー(メーカー)の独自技術に大きく依存した製品、サービス、システム等を採用した際に、他ベンダーの提供する同種の製品、サービス、システム等への乗り換えが困難になる現象のこと。
ベンダーロックインに陥った場合、製品、サービス、システム等を調達する際の選択肢が狭められる。価格が高騰してもユーザーはそれを買わざるを得ないため、コストが増大するケースが多い。また、市場の競争による恩恵を十分に受けられない可能性もある。

wikipedia 「ベンダーロックイン」より

ざっくりとした要約をすると、「今使っているシステムやサービスから、別の会社のものへの乗り換えが非常に難しくなっている状態」です。

定義には「特定ベンダーの独自技術に大きく依存した製品・サービス」とあります。

まずベンダーとは、システムを作っているIT企業、と理解いただいて問題ありません。

つまり、凄いシステム制作会社が作った凄いシステムなので、他の企業に乗り換えられないということです。

「凄いシステムなんだから、乗り換え出来ないのは当然じゃないか?」

と思われるかもしれません。

例えば、フェラーリの性能を求めているんだから、フェラーリでしか対応出来ないのは当然だろ、という具合です。

が、それは大きな誤りです。

考えてみてください。

Microsoft の ワードやエクセルといったアプリケーションは素晴らしいですが、それ以外にも安価で使える似たようなアプリケーションはありますよね。

ウイルス対策ソフトも、有料で有名なものもあれば、無料で評価の高いものもあります。

「似た機能のもの」はいくらでもあるのです。

現実のところ、「そのシステム制作会社でなければ作れないもの」はほとんど存在しません。

先の例でいうならば、フェラーリではなく、トヨタ社のカローラやホンダ社のフィットなのです。

仮に最先端の技術が使われていて、その会社しか作れないものであっても、数年、早ければその年には競合の製品が登場します。

そうなると市場原理が働くので、値段はどんどん安くなるはずです。

本来なら更新するたびにシステム利用料は安くなってもおかしくないのです。

しかし、それが出来ないどころか、使っていて不便な点に対して「こうして欲しい」という要望を依頼すると莫大な費用を提示されることになります。

「だったら他社に乗り換えたらいいじゃないか」と誰しも思うでしょう。

しかし、それが出来ないのです。この状態こそ、ベンダーロックインです。

なぜベンダーロックインに陥るのか

毎年別のシステムに乗り換えるということはほとんどありませんよね。

例えば会計ソフトや営業支援システムが毎年変わったりなんてしたら、実際に使う側からすると毎回使い方を覚えなければならないので、面倒で仕方ないです。

業務に関わるシステムは、基本的には一度採用されると、2年、3年、5年と使い続けることになります。

同じシステムを使い続けるということは、ずっと同じ会社と付き合っているということになります。

「システムのことについて〇〇社の××さんに聞く」ということが社内で何度も発生します。

それが長年重なっていくと、「システムのことは全部〇〇社に任せている」という形に自然となっていき、自社内で使っているシステムであるのにも関わらず、自社内にはどんなものか分かっている人がいない状態になります。

自社のことが分からない状態で、かつ、知っているのはお願いしている会社という構図になってしまうと、別の会社にいきにくくなるのは言うまでもありません。

「自社のことが分からない」の部分をより具体的に言うと、自社がシステムを使う上でどんなデータをどうやって保存しているのか分からないと言うことです。

どんなデータを扱っているのか分からないのでは、他社に依頼しようにも話が必然的に難しくなり、その分金額も上がってしまいます。

また、「今まで問題なかったのだから、今後もこのままでいい」と言う心理も働きます。

他社のシステムに置き換えるとなれば、どうしても操作方法がガラリと変わるので、実際に使う社員の方々も嫌がる傾向が高いです。特に若手が少ない会社になればこの傾向が強くなっていきます。

結果、「こう変えて欲しい」「こんなことは出来ないか?」と依頼をしても、ベンダーが不得意な内容だったり、「出来ません」や「コストがかかります」と言われると、自社のことなのに自社では変えられない状態になってしまいます。

先んじてITに投資していたはずなのに、相対的に古いシステムを使い続け、気がつけば時代遅れの社内システム、時代遅れの仕組みの会社に転落してしまうことになります。

ベンダーロックインを防ぐには

ではどうやってこの問題を解決したらいいのでしょうか。

実は、このベンダーロックインという問題はこと日本において発生しやすい問題となっています。

IT先進国と言えばアメリカ。しかし、日本とアメリカのIT人材の総数はそう違わないのです。

もちろん、人口や経済規模が大きい分アメリカの方が何倍も多いのですが、人口に対する割合で見るとそこまで大きな差があるわけではありません。

しかし所属が大きく異なります。

ざっくり言えば、日本はシステムを作るベンダーに大多数のIT人材が所属しているのに対して、アメリカは逆に、使う企業自体に大多数が所属しています。

つまり、自社のシステムを自前で何とかしているわけです。もちろん全てを自社で行っているわけではありませんが、手を組んでいる会社に丸投げして、自社には情報やノウハウがないという状態を避けているわけです。

要するに自社内にIT人材が居ないという構造が問題なわけですから、一番の対策は自社内でも能力のあるIT人材を雇うということになります。

事実、日本国内でも大企業ではこの動きが活発化しています。特に今後中心になるであろうAIについては今までのITテクノロジーよりも専門性が高いので、先んじてAI人材を確保しています。

しかし、「大企業だから有能なITエンジニアを雇うことが出来ているのだ」という事実があります。

自社で雇うという特効薬が使えない中小企業はどうしたらいいのでしょうか。

自社にないなら社外で何とかするしかありません。

ITコンサルの意見を聞いたり、今付き合っている企業とは別のシステム開発企業の意見を聞いて、自社のシステム状況を客観的に把握し、新しいサービスやシステムがあれば積極的に使用を検討しましょう。

そして「使えそうだ」という判断になったのであれば、まず自社内にそれに精通している人物を確保した上で、乗り換えることをお勧めします。

まとめ

今回はベンダーロックインについて説明しました。

この問題は企業だけではなく、政府や地方自治体でも問題になっています。

公の調査によれば「政府と自治体の官公庁の98.9%が「ベンダーロックイン」の可能性のある取引をしたことがある」という状態です。

日本中どこにでもある問題なのです。

だからこそ、この状態からいち早く抜け出すことができれば頭一つ抜けることができます。

「とは言われても、どこに相談したらいいのか」とお思いであれば、是非弊社にお声がけ下さい。

医療で言うセカンドオピニオンとして意見をさせて頂きます。