ビジネスに関わる「55」という数字
「なぜかこの数字ってよく見かけるぞ」、ということがありますよね。
自分の中で「この数字が好き」「この数列が好き」というものを持っている方もいるでしょう。
今回は、人気数字の1つである「5」を2つ重ねた数字である「55」にまつわる5つの例を紹介します。
オカルト的なタイトルではありますが、全てデータや研究を元にしています。ご安心ください。
1. 7-38-55ルール(3Vルール)
有名な「メラビアンの法則」です。
1971年に調査を元に心理学者に発表された法則です。メラビアンは発表した人物名です。
有名なのでご存知の方も多いかもしれません。
しかし、人の前に立って説明をする人は誤解なく理解していなければなりません。
メラビアンの法則とは
「感情を伝えるコミュニケーション」において人は以下の割合で相手の感情を読み取るというものです。
- 言語(Verbal) :7%
- 聴覚(Vocal ) :38%
- 視覚(Visual) :55%
どういうことかというと、以下のようなパターンで、人がどこから相手の感情を読み取っているのか、ということを説明しています。
- 言語:「怒ってない」
- 聴覚:怒声
- 視覚:明らかに怒りを持った表情
この状況、上司の感情を「怒っていない」と言葉通りに受け取る人っているでしょうか。
言語の割合が7%と低い理由がわかりますし、聴覚や視覚が高い理由がわかりますよね。
よくある誤解として「常に人は見た目で55%物事を判断する」というものがあります。
大きな間違いです。
あくまで「何をみて相手の感情・態度を理解してるのか」です。
ではどうでもいい法則なのか?というと大間違いです。
こんな営業マンでは「本当に自信をもってるな、よし購入を検討しよう」と思えませんよね。
営業だけでなく、上司への報告や意見を出す場合にも同様です。
「言行一致」ということですね。
2. 55時間以上働くのは非効率
衝撃的な内容ですが、2014年にスタンフォード大学経済学部教授のジョン・ペンカベル氏が発表したものです。
The Productivity of Working Hours John Pencavel (元の論文です)
簡単にまとめると以下になります。
では詳しく見ていきましょう。
一般的な1日の労働時間である8時間を目安とすると、週の労働時間は40時間です。
論文の内容を具体的に数値化すると以下の関係になります。
※ 残業代は1.25倍で計算しています
定時が9時 – 18時の会社の場合、毎日朝8時から仕事を始め、午後も残業しているという方も多いと思います。時間効率を考えると、残業は19時までですね。
朝の7時代から仕事をしているという方は、定時帰りが丁度良さそうです。
また、上記の表の前提として土日に働いていないという点も重要です。
土日に1日働くとすると、定時分だけで48時間ですから、平日の残業で効率の良い残業時間はたったの2時間。1日にならすと24分しかありません。
休みはしっかりとった方がいいということですね。
経営者視点でみると、残業自体がそもそも費用対効果が悪いことに加え、更に悪化するので少ないに越したことはないですね。
3. 週55時間以上の労働で“脳卒中リスク”1.35倍
労働時間の問題は生産性だけではありません。
WHOが1970年から2018年にかけて154カ国で調査したデータから週55時間以上の労働で「脳卒中リスク 1.35倍」「心疾患で死亡するリスク 1.17倍」になるという報告をしました。
Long working hours increasing deaths from heart disease and stroke: WHO, ILO
週に55時間以上働く場合は、週に 35 ~ 40 時間働く場合と比較してリスクが向上します。
脳卒中の発症率というのが2010年の日本国内の調査では10万人に166人という割合です。
元々「1,000人に1.6人」というリスクに対して、1.35倍ということは「1,000人に2.2人」ということになります。
1が2に増えたと考えるとその大きさがわかります。
近似の分かりやすい値として交通事故に遭ってしまう確率があります。
交通事故は2019年に464,990人が被害に遭っています。総人口が126,167,000人なので、「1,000人に3.7人」です。
交通事故に遭うくらいの確率と思うと怖いですね。
4. 2030年に先端IT人材55万人不足の恐れ
いろいろなところでITの人材が足りないというニュースがあります。
「当社はIT系の会社だから大丈夫」「ウチはITの人材が揃っているから大丈夫」と思っていると痛い目をみます。
不足する人材はAI・IoT系人材
表題の内容は上記の経済産業省の調査に記載されているものから来ています。
報道によっては45万人不足とも表記されていたりします。
Reスキル : 従来型 IT 人材から先端 IT 人材への転換を Re スキルと定義
従来型 IT人材 : システムの受託開発、保守・運用サービス等に関する人材
先端 IT 人材 : IoT 及び AI を活用した IT サービスに関わる人材
既存のIT人材が社会の構造変化に応じたケースが表の上です。
従来型のIT人材の需要をそのまま応じつつ、転換したケースが表の真ん中です。
転換があまり進まなかったケースが表の下です。
55万人はワーストパターンで、既存IT人材が余っているという最悪のケースです。
なぜこうなるのかというと、以下のグラフで既存ITと先端ITの需要バランスが変化すると見込まれているからです。
2028年には、既存ITと先端ITの需要が逆転すると見込まれています。
ITのメインがシステム的なものから、AIやIoTになるということです。
需要が少なくなるのだから、転換が進まないと
「IT人材が55万人不足しているのにIT人材が10万人余る」
という一見すると意味のわからないことになります。
先をみた行動をしなければなりませんね。
5. 老後資金2000万円問題は3年で”55万円問題”に
5つめはおまけです。
一時期世間を賑わせた老後資金2,000万円問題。
年齢を重ねていく上で気になるのが老後ですが、この問題は最近耳にしなくなりました。
そんな中でてきた最近のニュースがこれです。
「老後資金2000万円問題は3年で”55万円問題”に」それをメディアが全く報じない理由
このニュースの中で2,000万円は2017年の統計結果だけでの計算で、
2018年、19年、20年になると足りない資金が減少していき、20年の収支では老後30年での不足額は55万円になるというものです。
実際に1次ソースである総務省統計局の家計調査報告を見てみましょう。
家 計 調 査 報 告 家計収支編2020年(令和2年)平均結果の概要(総務省統計局)
なんと1,111円の黒字です。貯金の切り崩しすら発生していません。
もしこれが30年続くのであれば、33,330円の黒字になります。当然信じられません。
2020年は給付金などのコロナ対策での収入もあったことから、別の年と比べて収入が多いです。さらにコロナ禍の影響で外食・旅行が減ったことも黒字を産んでいます。
つまり、単年のデータだけを切り取ったものはアテにならないということです。また、マスコミの印象操作を鵜呑みにするのではなく、実際の数値を自分で探し、計算することも大事です。
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