2021年1月27日

ウォルマートのデジタルトランスフォーメーション

投稿者: kgi_admin

昨今、謳われているデジタルトランスフォーメーション、皆さんもよく耳にすると思います。

よく耳にする言葉ではありますが、日本ではあまりデジタル化は進んでいません。では、海外ではどのようなデジタルトランスフォーメーションが行われているのでしょうか。

今回はアメリカで一番シェアを誇るスーパーマーケット、ウォルマートの事例を紹介したいと思います。

ウォルマートとは

ウォルマートは、1962年にサム・ウォルトンが創業されたスーパーマーケットチェーンです。

現在は、売上額で世界最大の企業に成長していて、過去には日本でも、西友を子会社化していました。

アメリカでは49州に5000店近くが存在してて、90%のアメリカ人が16km以内の距離に住んでいます。また、95%のアメリカ人は1年に1回以上ウォルマートで買い物をしており、アメリカでは最も身近なスーパーマーケットとなっています。

ウォルマートはEC界の最大手であるAmazonにも対抗できるようデジタル化を進めています。近年では多くのスタートアップ企業を買収・提携し、あらゆる面でテクノロジーを駆使して、オペレーションの改善や新サービスの立ち上げに成功しています。

デジタルツールによるオペレーションの効率化

上記でも述べたようにウォルマートは多くのスタートアップ企業を買収・提携しています。そのテクノロジーを活用して、オペレーションをどのように効率化していったのかを紹介します。

・Bossa Nova Robotics

2018年3月に全米50店舗に導入され、その機能性の高さが話題となった、このロボットは店舗棚をスキャニングしながら、商品数のカウントを行っています。在庫管理システムと連携することで、従業員は商品の補充を正確に行うことができます。

また、商品棚の商品タグの照合も同時に行っており、商品棚の商品と商品タグに相違があれば、それを従業員に知らせることも可能です。

・Alphabot

2018年にはAlert Innovationと提携し、Alphabotという在庫管理ロボットも導入しています。

Alphabotは自動移動カートで、在庫を保管している場所から商品を運んでくれます。倉庫内を自動で移動して従業員まで商品を届けることができ、従業員は受け取った商品を店頭に補充します。倉庫からの商品補充の効率を高めると共に人件費も削減することができます。

・清掃ロボット

清掃向けAIロボットを開発しているBrain Corporationと提携することで清掃業務の自動化も進めています。

LiDARを搭載することで周囲の物や人の感知を行い、営業時間中でも問題なく清掃作業を行えます。また、従業員の清掃作業を学習することで、清掃を自動で行うことができます。

・電子値札

ウォルマートは商品棚の値札の電子化も進めています。商品棚の値札はセールなど商品の価格変更のたびに変える必要があり、資材と人件費に多くの費用を使わざる得ませんでした。電子値札を使用することで、大幅なコストの削減を実現できます。

・自動運転

検証段階ではありますが、ウォルマートは自動運転車にも力を入れています。

2018年には自動運転開発企業Waymoとの提携により、オンラインショップで注文した商品を店舗で受け取る利用者を自動運転車で送迎するプラグラムの検証を行いました。

また、2019年には自動運転開発スタートアップの米Udelvでは自動運転車による商品宅配サービスの実証実験も行っています。

デジタル化による購買体験の変化

ウォルマートがデジタル化したのはオペレーションだけではありません。ウォルマートの購買体験はここ数年で大きく変化しています。

・Scan&Go

店内でモバイルアプリを使い、商品のバーコードをスキャン、決済時にQRコードをかざして決済を完了させる仕組みです。従業員が一つ一つバーコードをスキャンして会計する作業が減るとともに、買い物客はレジで待つ時間が格段に削減されます。

また、AIが購入履歴を学習することで購入商品の提案を行い、スムーズなショッピングの手助けをします。

その他のスマホを使った店舗での購買体験としては、IBMと連携することで、スマホのカメラを使って、商品の仕入れルートをARで確認できる技術も導入しています。他にも、ビーコン端末とモバイルアプリを連動して、店舗での最短の買い物ルートを指示することも実現しています。

・アパレル

ウォルマートはアパレルにも力を入れています。Jet.comを買収して以来、ミレニアル世代の男性向けのアパレル企業Bonobosやミレニアル世代の女性向けのModClothなどを買収しています。

Bonobos、ModClothともに買い物客が事前予約をして、専属のスタイリストが付くサービスを展開しています。スタイリストが買い物客にあった洋服を選び、提案することで、顧客の満足度の向上を試みています。

購入時は店内で購入するのではなく、既存のECサイトへ登録して、ウェブ上での決済をしています。こうして、顧客データを一元管理するとともに、ECサイトでの購入を従業員がサポートすることで、ECサイトでの購入というストレスを減らし、次回から問題なくECサイトで購入できるように促します。

・Walmart Pay

Walmart Payはウォルマート専用のQRコード決済です。同一のアプリで、ポイントを貯めたり、電子クーポンを発行したり、キャンペーンを確認したりなどが可能です。

同アプリでは商品の注文・発送もや、アメリカで浸透しているオンラインで決済して、店舗で商品を受け取るサービスも利用可能となっています。

まとめ

デジタルトランスフォーメーションが難しいと思われている小売業ですが、アメリカの最大手スーパーマーケットチェーンであるウォルマートはデジタル化を通してオペレーションの効率化に成功しています。ロボットを使うことで、在庫管理や清掃などの人件費を削減しています。

デジタル化により店舗での購買体験も変わっており、Scan&Goによるレジでの待ち時間の削減やAIにより買い忘れ商品を減らすなど、顧客のストレスは格段に減っています。

店舗だけなく、ECによる売り上げも急激に伸ばしており、特にコロナ禍ではオンラインで購入して自宅へ配達、または、オンラインで購入して店舗で受け取るサービスが多くの買い物客に利用されています。

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