私たちの「選択」に関してのあれこれ
私たちの選択
現代には物やサービスが豊富にあり、店頭はもちろんのこと、インターネットやSNSにも多くの選択肢が存在しています。私たちは日常的にその無限にある選択肢の中から、「選択」を続けています。
1日にいくつの選択をしているのか
平均的なサラリーマンが1日に選択する数は平均約70回、CEOがこなす1週間の職務は約139個あり、そのうち50%の職務について、9分以内に意思決定されていることが調査で分かっています。※米コロンビア大学調査結果より
私たちは無意識に1日のうちにこんなに多くの選択をしています。
選択に関する実験(ジャムの法則)
また、私たちが「選択肢が多すぎる」場面に直面した場合どうなるのかを試した有名な実験(ジャムの実験)を紹介します。
スーパーマーケットで、6種類のジャムと24種類のジャムを用意して、試食販売を行いました。この実験では、ジャムの種類の数が売上にどのような影響を与えるのかを調査しました。結果として、24種類のジャムを用意した方が多くの人が集まりました。しかし、6種類の試食では、試食した人の30%がジャムを購入したのに対し、24種類の試食では、試食した人の3%しか購入しませんでした。つまり、試食のジャムを6種類に絞った結果、24種類と比べて購入率は10倍も変わったということです。
引用元 : https://insight.rakuten.co.jp/knowledge/researchcolumn/vol44.html
ジャムの法則の実験結果から言えることは、選択肢が多すぎると、その中から1つを選ぶのに時間と労力がかかり、決断疲れしてしまいます。結果として、選択するのを放棄してしまうのです。多くの選択肢の中から1つを選ぶ場合、これを選んだ場合や他を選んだ場合の結果を想像し、それが購買意欲を削いでしまうことになります。(誤った決断をしてしまいそうで選択を躊躇してしまう)
多数の選択肢から選り分けるために
多くの選択肢の中から正しいと思われる選択肢を選択する方法として、
①目の前にある選択肢を吟味する前に、まず、自分が何を望んでいるかを考え、選択肢を絞る。自分の選択は常に正しいとは限らず、完璧なものなど選ぶことはできない、と考えるようにする
②特定の領域(重要な選択にかかわる分野、興味のある分野など)の専門知識を増やして、認知能力や認知の許容量の限界を広げ、選択から最小限の努力で最大限の効果を引き出す
③その分野に精通している人の助けを借りる(例えばワインのことはソムリエに相談する)、あるいは集団の知恵を利用する(例えばカスタマーレビューやリコメンデーションなど)
④選択肢を分類する(ステップワイズで考える)・・・選択肢を扱いやすい数に分類し、それぞれの分類に、扱いやすい数の選択肢を含める(例えば、雑誌売り場での「健康・フィットネス」「ホーム&ガーデン」といった分類、あるいは一つの商品をいくつかの分類に仕分ける…キーワード検索やタグの利用など)。多数の属性を基に選択しなければならない時、選択をどの順序で行うか、選択肢のツリーを作る(例えば車のオプションを考えるとき、選択肢の少ない順から始める方が効率的)
「選択」に関するマーケティング
何かものやサービスを販売する上でも、どのような選択肢をユーザーに持たせるのか考える必要があります。
モノやサービスを販売する企業は人々の「選択」に関して何を意識するべきなのかを紹介します。
ユーザーに新しい選択軸ををつくる手段
私たちがモノやサービスを買うときは、何らかの選択軸にもとづいて行動しています。例えば、「商品の値段」も、買うか買わないかの判断をするための重要な選択軸の一つです。
自社商品のターゲットになるユーザーの選択軸を把握することは、売上を伸ばすためにも大切です。しかし、既存の選択軸だけに頼っていると、競合よりも圧倒的に強い商品やサービス力を持たない限り、価格競争に陥ってしまい、ビジネスとしてうまくいかなくなるかもしれません。
そこで重要になってくるのが、ユーザーにとって「新しい選択軸をつくる」ことです。
既存に頼らない新しい選択軸
選択軸を把握することは、マーケティングをする上で欠かせませんが、市場の現状分析から洗い出した既存の選択軸のみに焦点を絞った戦略をとると、どんどんと頭打ちになっていきます。
例えば、「価格」という選択軸に注力し過ぎると、商品そのものの魅力は衰退するか、少なくとも向上するのは難しくなるでしょう。
そこで、今までなかった視点を発見して新しい選択軸をつくり、そこで商品の魅力を競っていくという、新しい発想が求められます。
新しい購買行動における「選択軸」をつくるための手段について、例を用いて解説します。
購買行動における新しい選択軸をつくった例
・Apple製品・・・商品の選択軸にまでには至っていなかった価値を研ぎ澄ました例
Apple製品にはスティーブ・ジョブズのデザインへの「こだわり」が盛り込まれており、発売当時から他社製品と圧倒的な差別化がされていました。
Apple製品以前も、PCの選択にデザイン要素が全く無視されてきたかと言えば、決してそうではありませんでした。しかし、デザインを重視してPCを選ぶ人はあまりいなかった、つまり一般的な「選択軸」ではなかったのです。
ところが、Apple製品が販売開始されると、ユーザーは「PCはこんなにもオシャレになれるのか」と驚いたといいます。その瞬間、「デザイン」はPCの選択軸にまで「昇華」されたのです。
既存の価値であれ、何かを一定のレベル以上に突き詰めることでユーザーの行動基準自体を変化させることもできるということです。
・持ち運び扇風機・・・ユーザーの声を聞いて、新しく加えられそうな選択軸を探った例
近年、夏になると持ち運び型の扇風機を見かけることが増えました。 この商品は、扇風機に「ポータブル」という価値を付け加えたものです。斬新なアイデアではありますが、おそらく多くの人が昔から、「外でも扇風機が使えたら…」という願望を持っていたと思います。
このように、まだ商品化されていないけれど、「潜在的に広く求められている価値」を発見できたとき、とても強いプロダクトが生まれる可能性があります。
・ニコニコ動画・・・既にある価値をうまく組み合わせて、新しい選択軸をつくった例
書き込んだコメントが画面に流れることで有名になった、ニコニコ動画という動画サイトがあります。それまでは、視聴した動画の感想を動画サイト内、または別の掲示板サイトに書き込むのが通常でしたが、ニコニコ動画では動画上にコメントを表示させることで動画自体に掲示板の役割も持たせました。
このように、ユーザーがもとは別の商品やサービスに求めていた価値を取り込むことで、利便性や魅力が向上し、そのプロダクトについての新しい選択軸ができることがあります。
まとめ
私たちは1日に多くの選択をしています。
また、選択肢が多すぎると、その中から1つを選ぶのに時間と労力がかかり選択するのを放棄してしまいます。
モノやサービスを販売する企業は、新たなユーザーの選択軸をつくることは、業界の進歩が頭打ちにならないためにも重要です。新たな選択軸をつくるための手法はいくつか考えられてきましたが、まだまだ多くの可能性があります。
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